岸優太を哲学したい

映画オタクが岸くん沼にはまるとこんなことを考えますの典型

きしくんとみたい映画/その1

Duet6月号、岸くんが近況についてこう述べていた。

「洋画を観るのが多いよ。今はマフィア系にハマってる」

マフィア系・ギャング映画といえば、映画ファンはたいがいオールタイムベストに挙げるし、どんなに古くても今もなお色褪せない名作が数多くある。そんなギャング映画の中で、私が岸くんとみるならどんな映画がいいだろうと考えてみた。


ギャング映画を語るうえでまず外せないのが、フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」だ。NY五大ファミリーの一角であるコルレオーネ家を守るドンの栄光から逝去するまでの経過を辿りながら、ギャングの世界の表と裏、仁義と裏切り、家族愛が描かれるこの作品は、こと派手なアクションに偏りがちなギャング映画というジャンルのなかで、重厚で哀愁深い、人間味のある男たちの物語を作り上げることに成功した。どのシーンを切り取っても映画史に残る名シーンばかりである。
個人的には主人公ヴィトを演じたマーロン・ブランドの貫禄が好みでパートⅠが好きなのだが、周囲にはパートⅡが最高傑作だと言う男も少なくない。岸くんはどちらが好みなのだろう。何にせよ、本編、続編ともにアカデミー賞に輝いたシリーズ映画は後にも先にもこれだけである。


アンタッチャブル」も非常に魅力的な作品である。この映画には、世界一有名なギャングと言っても過言ではない、かのアル・カポネが登場する。アメリカの闇社会に名を馳せたギャングの帝王を捕まえるべく集った四人の男たち。実際に逮捕した捜査官の自伝を元に作られており、脚色はあれど、事実は小説より奇なりとはよく言ったと思う。
ちなみに、「花のち晴れ」のなかで某有名シーンがオマージュされたことも記憶に新しい。

次に挙げるのが「グッドフェローズ」。この作品も実在したマフィアが題材となっており、主演はレイ・リオッタ、脇を固めるのがロバート・デニーロジョー・ペシなのだが、このふたりがとにかく良い味を出している。人の良さそうなノッポの男と陽気で愉快な小太り男が、まるで歌でも歌うように次々と殺戮に手を染めていく様は狂気で傑作。
音楽に合わせたテンポの良い展開となっているため、ギャング映画のなかでも圧倒的に見やすい。

最後は「フェイク」。ギャング映画のなかではカリスマ的マフィアを演じることの多いアル・パチーノが、珍しく落ちぶれた下っ端マフィア・レフティを演じている。そこに潜入捜査で近づくのがジョニ―・デップ演じるドニー。ドニーはうだつの上がらないレフティを尻目に首尾よく功績を挙げていくのだが、それでもなお信頼を寄せてくれる彼に捜査官としてあるまじき情が沸き始め、マフィアと捜査官、二つの顔の狭間で苦悩する。
そのラストには、ギャング映画には珍しい余韻が、いつまでも消えない至高の映画だと思う。

ここまで読んでいただくと良くわかると思うのだが、ギャング映画を語るうえで決して欠かすことのできない名優がデ・ニーロとパチーノである。もしも岸くんのなかでギャング映画が一大ブームになっているのであれば、このふたりの出演作も多く鑑賞しているのだろうと思うと胸が震える。
上記以外にもデ・ニーロであれば「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、パチーノはアル・カポネをモデルに描かれた「スカーフェイス」や「カリートの道」などがある。二人が共演した「ヒート」という意欲作も語らずにはいられない。ということでかなり悩みに悩んで上記四作品を選出するに至った。